おはようございます。
アメリカでは新型コロナウィルスに伴う損害賠償を
お隣りの大国に求める動きが出てきているそうです。
日本にも訴訟や揉めごとがお好きな方々がいらっしゃいますが
いまこそ出番ですよ。。
さて
本日から新年度です。
今年はコロナウィルスの対応で
新年度どころではない気分でもありますが
それでも世の中は日々進んでいきます。
そこで本日は
不動産の取引に関連して
新年度から変更された点について書きます。
新年度に伴い
不動産の取引で変更される制度の目玉は
やはり120年ぶりの民法改正です。
不動産の取引に関連した民法改正については
以前のブログを参照して下さい。
本日は相続法の改正における
【配偶者居住権】について書きます。
まず、配偶者居住権とは、簡単に言うと
例えば、夫が死亡し相続が発生した際に
妻がそのまま家に住み続けることが出来る権利です。
その背景として、これまでは、
義父が亡くなり相続が発生した際に
そりが合わない長男の嫁から
義母が実家を出て行くように言われる事例が
ありました。
また、父が亡くなり相続が発生した際に
母が実家を相続し、
子供が現金などそれ以外の財産を相続すると
母の方に現金などの財産が相続されず
母が生活に苦慮するケースがありました。
これらを改善するために
義母や母が実家に住み続ける権利を担保するとともに
さらにその権利は、相続財産の評価には含めないことによって
母にも現金などの財産が行くようにしたものです。
この配偶者居住権は
不動産の所有権等と同様に
対象となる不動産に登記が出来る強固なものです。
これにより、不動産の登記簿には
これまでの所有権と配偶者居住権の二つの権利が
存在することになります。
不動産の取引の実務における扱い
先程も書きましたように
配偶者居住権は登記簿にも表示される権利ですので
不動産を取引する際にも実務が変わってきます。
まず
配偶者居住権が登記された不動産を
第三者に譲渡する際には
決済の時にこの配偶者居住権を抹消しなければなりません。
ですので
決済の時には
対象となる不動産の所有権を持つ人と配偶者の両方の出席と
必要書類への署名・捺印が必要になります。
(事前に署名・捺印を済ましておくことも可能)
なお、
抹消の登記手続きを行う司法書士の費用
(印紙代・報酬)が新たに必要となります。
配偶者居住権は配偶者が死亡すると
権利は消滅します。
ですので、
配偶者居住権が登記された不動産で
その配偶者が死亡している場合は
司法書士にて抹消の登記を行った上で
第三者への所有権の移転登記を行います。
よって、配偶者が死亡した際に
この配偶者居住権が誰かに相続される
と言うこともありません。
配偶者居住権が登記された不動産の売買の実務上は
それほど複雑ではありませんが、
税務上には注意が必要です。
具体的には、
配偶者居住権が登記された不動産を売却した際には
不動産の所有者だけでなく
配偶者もそれなりの売却の対価をもらわなければなりません。
もし売却の対価をもらわず無償とした場合は
不動産の所有権を持つ子供たちへの贈与とみなされ
子供たちには贈与税がかかります。
また、配偶者が売却の対価をもらった際には
それは譲渡所得とみなされ
譲渡所得に対する税(所得税・住民税)が課税されます。
このあたりは見落としがちですので
注意が必要です。
ということで本日からスタートする
配偶者居住権の制度については
司法書士さんも十分に慣れていないところもありますので
よく打合せの上、取引を行う必要があります。