日の出の早くなるこの時期は
1日の時間を得している気分になるものです。
さて、
ネットや誌面でも情報が流れていますが
国交相が、不動産取引における
人の死に関する心理的瑕疵の取扱いについて
ガイドラインの案を公表しました。
ちなみに、国交相の言う「案」とは
形上は「この案に対する皆さんの意見を聞きますよ~」と言う
パブリックコメントの形式にはなっていますが
実質的には、内容は既に確定したようなものです。(笑)
今回のガイドラインのポイントは
下記の通りです。
①病死や老衰などの自然死や、転倒などの不慮の事故死については
買主や借主に対し告知する必要は無い
②自然死や不慮の事故死であっても、長期間放置される等
特殊清掃が行なわれた場合は、告知する必要がある
③賃貸の場合は、上記①②であっても
発生から概ね3年が経過すれば借主に告知する必要は無い
「宅地建物取引業者による人の死に関する心理的瑕疵の取扱いに関するガイドライン」(案)
⇒ https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000219027
以前、売主のご家族が
不慮の病死をされた不動産の売買を
お手伝いさせて頂いたことがありますが、
とある大手の不動産業者さんからは
「病死は告知義務ではないのか!」
と噛みつかれたご忠告を頂いたことがあります。(笑)
しかし、当時は、
今回のようなガイドラインも無く、
又、判例等を参照しても病死を【告知義務】とする
明確な規定はありませんでした。
病死の状況から判断しても
【告知義務】があるとは考えられませんでした。
ですが、
不動産を購入する側の立場に立って考えると
自然死、不慮の事故、事件・事故に限らず
そこで人の命が無くなったのであれば
その事実は伝えて欲しいものです。
ですので
【告知義務】の有無に関わらず
現地内覧の際には、
そのことをお伝えさせて頂いておりました。
今回のガイドラインでも
「自然死や不慮の事故については告知義務は無い」
となっていますが、
不動産を購入する側の立場からすると
やはりその事実は知っておきたいものです。
買主によっては
「もし、その事実を知っていたら購入しなかった」
という人も必ずいるはずです。
そうなった場合に
「ガイドラインで告知義務が無いとされているから」を理由に
不動産業者の責任が免責されるのでしょうか?
また、
それを知らされずに購入してしまった買主に
「今回はあきらめて下さい」という判決が出るのでしょうか?
ガイドラインで「告知義務は無い」とされたとしても
実務においては、相変わらず購入希望者には
その事実を伝えることになります。
不動産取引において、
告知義務の有無にかかわらず
残念ながら、人の死は、
その不動産にマイナスの評価が発生してしまうのが現実です。
マイナスの評価とは
不動産の価格が下がると言うことです。
今回のガイドラインのようなケースにおいては
大切な家族を亡くされた上に
不動産の価格を下げざるを得なくなった売主さんの心境が
本来、一番配慮されるべきものだと思います。