おはようございます。
沖縄は今年もホワイトクリスマスに
期待は持てません。
さて、
菅政権の目玉政策の一つの
「ハンコ廃止による行政手続きのデジタル化」。
日本の行政手続きでは
本人によるサインよりも
100円ショップで購入できるハンコでの捺印の方が
重要に扱われることがあります。(笑)
今回の「ハンコ廃止」政策は
1年前の安倍政権の際にも法案化する動きがあったようですが
その時にも、ハンコの業界団体から猛反対があり
見送りになった経緯があるようです。
日本の業界団体が
日頃から国会議員への寄付や
選挙支援の活動をしている意味はここにあります。(苦笑)
不動産の取引においても
ハンコを押す場面がいくつもあります。
代表的なのは契約の締結や
所有権を移転する際の登記手続きですが
不動産の場合は、取引を行なう売主・買主の当事者だけでなく
取引が行なわれる不動産の周辺の方々のハンコが必要な場面もあります。
例えば
敷地の境界を確定する際には
隣地所有者に現場で立ち会ってもらい
境界を確認したという証として
隣地所有者にハンコを押してもらいます。
また、同様に
一つの土地を2つに分筆する場合
その土地に接する全ての土地の所有者のハンコを押してもらえないと
原則分筆が出来ません。
その他にも
前面道路が他人の私道である場合で
その私道を掘削して
新たに水道や下水道を通したり
既存の配管を更新しようとするためには
その私道の所有者の承諾のハンコが必要となります。
このとき、私道の所有者から
「ハンコ代」の名目で
それなりの金銭を要求されることがあります。
しかし、最近は、
私道の所有者の承諾がなくても
掘削工事を行なうことを承諾する判例も
いくつか出てきています。
その時の法的な根拠は
「民法」と「下水道法」です。
ただし、いずれの判例も
両法を類推適用したものであり
全てのケースで適用できるものではありませんので
具体的なケースで困ったときには
弁護士さんに相談しましょう。
しかしながら
私道の所有者の承諾がなくても
掘削工事を行なうことが出来るようになれば
これまでもらっていたハンコが必要なくなりますし
それに伴う「ハンコ代」も不要になります。
これは、売主・買主など
不動産の取引の当事者からすると
負担が軽減されることになります。
ちなみに、これらのハンコ代は
「収入」に該当しますので
当然、税金の対象となります。
ですが、
ハンコ代を要求するような方々は
税金を払わなくて済むように
領収書は発行しない等
形を残さないようにする人も多いものです。(苦笑)
<参考>
民法220条(余水排池権)
高地の土地所有者は他人の低地を通じて下水道等に至るまで
余水(雨水など)を通過させることができる
民法221条(流水用工作物の使用権)
:高地の土地所有者は低地の土地所有者が設置した排水管を使用し
下水道等に至るまで排水することができる
下水道法11条1項(排水に関する受忍義務等):
排水設備を設置しなければならない者は、
他人の土地又は排水設備を使用しなければ
下水を公共下水道に流入させることが困難であるときは、
他人の土地に排水設備を設置し、
又は他人の設置した排水設備を使用することができる。