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不動産の相続登記の義務化がはじまります

不動産の相続登記の義務化がはじまります

いくつになってもひな祭りは女の子の日ですね。

さて、今から5年前の2016年、
増田元総務大臣が座長を務める研究会が
「日本における所有者不明の土地は九州本島の広さに匹敵する」
と発表しました。

そして
「このまま放置しておくと2040年には北海道の広さにまで拡大する」
と警笛を鳴らしました。

研究会の報告書(概要版) ⇒ https://www.kok.or.jp/project/pdf/fumei_land171213_02.pdf

日本において【所有者不明土地】が着目されるようになったのはその時から
と言っても良いでしょう。

そして、あれから5年が経過し
その所有者が不明な土地について
ようやく具体的な対策がまとまり
法律化が始まるようです。

相続登記の義務化

まず、
所有者不明の土地が発生するメカニズムについて検討した結果、
相続が発生した際に相続の登記されないことが
発生原因の一つであると分析しました。

そのため、今後は相続事案が発生した時には
相続登記を行なうことが法律で義務化される予定です。

具体的には
相続が発生してから(相続を知ってから)3年以内の登記を義務化し
違反した場合は10万円以下の科料が科される見込みです。

世の中には、相続の事案が発生しても
相続人同士の不仲等の理由で遺産分割協議が纏まらず
不動産が亡くなった人の名義のままとなるケースがよくありますが
これらを無くしていこうとするものです。

住所・氏名変更登記の義務化

所有者不明の土地が発生する他の原因として
現状、住所や氏名に変更が発生した際に
変更登記がされていないこともあります。

土地の所有者を探す際には
登記簿に記載されている住所や氏名が
まず最初の手掛かりとなりますが
現状は、それらに変更があっても
登記の住所や氏名までは変更しないのが実情です。

そうすると、登記簿の住所や氏名宛に
お尋ねの郵便物を送付しても
「宛先不明」で返送されてしまい
そのまま「連絡先不明」な土地となってしまうケースもあります。

そのため、今後は
住所や氏名に変更が発生した場合は
2年以内の変更登記を義務化し
違反した場合は5万円以下の科料が科される見込みです。

【相続登記の義務化】も
【住所・氏名の変更登記の義務化】も
どちらも罰則付きの義務ですので
登記の対象となる人には負担が増えますが
登録免許税を軽減したり
申請時の書類等を簡略化するなどの
負担を軽減する措置も導入されるようです。

相続時の所有権の放棄

所有者不明の土地については
その他にも、相続時に限り
所有権を放棄することによって
その土地を国に帰属させる仕組みが導入される予定です。

遠方に住んでいるため
相続で自分の所有となっても管理が出来ない場合などを想定し
相続を放棄し、国に 寄贈 帰属するというものです。

しかしながら
何でもかんでも国に帰属が出来る訳では無く、
・土地の上に建物が建っていないこと
・隣地との境界が明確であること
・権利関係で他人とのトラブルが無いこと、など
「国に帰属されても問題が無い土地」いう条件が付加されます。国も厄介モンを押しつけられても困るし・・・

また、国に帰属する際には
10年分の土地の管理費に相当する負担金の支払いや
境界確定測量などの費用負担が必要となってくる見込みです。

まとめ

今回の【相続登記の義務化】、
【住所・氏名の変更登記の義務化】、
【相続時の所有権の放棄】については
早ければ2021年度の国会で成立し、
2023年度に施行される見込みです。

しかし、これらはいずれも、
今後、新たに所有者が不明な土地をつくらないための対策です。

つまり、
「所有者が不明な土地をこれ以上増やさない」
というものに過ぎません。

ですので、この
所有者が不明な土地問題の根本的な解決としては
「九州本島サイズ」にまで大きくなったものを
減らしていく必要があります。

よって、
所有者が不明な土地の問題については
次はそこに踏み込んだ第二段の対策が
打たれるのでは無いかと想像します。