不動産の売買では
高額なお金が動きますので
人間の欲が渦巻く世界でもあります。
ですので、中には
その欲を抑えることが出来ず
悪さを働く人が出てくるものです。
また、そもそも悪事を働いて
大金を手に入れることを目的に
その手段として不動産の取引を利用する人もいらっしゃいます。
例えば
不動産の所有者に成りすまし
他人の不動産を勝手に売却し、
その売買代金を手に入れるいわゆる「地面師」の話は
大手の会社が度々ダマされる
有名なケースです。
また、
不動産は億単位など高額な売買もありますので
悪い人たちが悪事を働いて手に入れたまとまったお金を
不動産に置き換えたり、それをさらに転売するなどして
お金の出所や流れを隠そうとする
「マネーロンダリング(資金浄化)」にも
好都合なのです。
これらを防止するために
不動産の取引をする際には
本人確認が義務付けられています。
不動産の売買だけでなく
金融機関での取引や
会社を設立したり
クレジットカードを作ったり
貴金属を売買したりと
悪い人たちが悪事を働く際に利用しそうな手続きの際には
【犯罪収益移転防止法】という法律により
本人確認が義務付けられています。
【犯罪収益移転防止法】のリーフレット ⇒ https://www.npa.go.jp/sosikihanzai/jafic/pdf/leaf20161001.pdf
ちなみに、
【犯罪収益移転防止法】による本人確認の際には
保険証など顔写真の入っていない身分証は、今では事足りず
住民票や印鑑証明等の補完書類の提示が必要となっています。
以前、ある不動産売買で
お客様の本人確認が必要となりました。
その時は、
大手の不動産会社さんと共同での取引でしたが
大手の不動産屋会社さんの社内規定では
その時にお客様が持参された本人確認書類では
事足りないということになりました。ちゃんと顔写真入りの公的書類でしたが・・・
その時にお客様が持参された本人確認書類は
マイナンバーカードでした。
大手の不動産会社では
顔写真入であってもマイナンバーカードの提示では
本人確認作業が完了しない場合があります。
厳密に言うと
本人確認作業は完了しても
本人確認書類のコピーが取得出来ないのです。
マイナンバーカードには
当然にマイナンバーが記載されているため
コピーを取った際には、
もれなくマイナンバーの数字もコピーされてしまいます。
大手の不動産会社では
個人のマイナンバーを取得してしまうと
その管理が煩雑となったり
万が一、マイナンバーの情報が漏れた際の対処を考慮し
マイナンバーのコピーを取得したくない取得出来ないのです。
ですので
いくら公的機関が発行した
顔写真入りの本人確認書類であっても、
社内業務の規定上、マイナンバーカードは本人確認書類として
取り扱っていないのです。(苦笑)
どおりでマイナンバーカードが
普及しない訳です。(笑)
コピーを取ったときは
マイナンバーが写らないようにする等の
改善の余地がありそうですね。
本人確認の行為は
犯罪を防止するための行為ですが
その本人確認をするために行なった行為そのものが
さらに犯罪を生んでは本末転倒ですからね。