世の中には不動産を悪用して
ひと儲けしようとする方が沢山いらっしゃいます。
そんな中、
華の都・大東京の土地に絡んだ詐欺師の方々が
昨日逮捕されたようです。
事件の大まかな概要は
【60代のお金持ちの女性が、
高齢者施設の建設への投資話を持ちかけられ
女性が所有する都心の一等地を担保とした事業資金の調達に同意したところ、
その土地が競売に掛けられてしまい、女性は土地を失ってしまった】
というものです。
yahooニュース → https://news.yahoo.co.jp/articles/ece67e63d776bccc11a87f92fac79d0fce431992
この話にはツッコミどころが
たくさんありますが
今回の詐欺行為が上手くいったポイントの一つに
【抵当権】を利用した点があります。
世の中には怪しい投資話が沢山ありますが
そのほとんどは、被害者から実際に現金を集めるスタイルで
そのあと、集めたお金を使い込んしまい
最後はドロンするタイプです。
しかし、
今回お金持ちの女性が被害にあった詐欺は
自分が所有する土地に抵当権を設定させるだけであり
実際に現金を準備する必要も無かったため
世の中にはびこる詐欺とは違うと思い
油断してしまったのだと思います。
不動産を購入するのに融資を利用する場合や
不動産を担保にお金を借りる際に
金融機関がその不動産に抵当権を設定するのは
ごく日常的な行為です。
しかしながら、
この事件の詐欺師たちは
その抵当権の仕組みを悪用し
まず、その土地を担保に
ノンバンク系から3億円の融資を取り付けた上に
融資の返済がされていないことを理由に抵当権を実行し
不動産の競売を申立てたのです。
ちなみに、今回競売にかけられた土地は
約240㎡(72.6坪)で、落札価格は約6.5億円ですので
坪単価にすると約900万円の破格値です。
さらに
落札金額のうち少なくとも約3億円は
競売を申立てた債権者に充当されるでしょうから
被害者の女性の手元に残るお金は多くても約3.5億円と思われます。
お金を増やそうとして思い
甘い話しに乗ってしまったために
お金増やすどころか資産を大きく減らすことに
なってしまった事件です。
先程も書きましたが、不動産の世界では
抵当権の設定された不動産を売買するのは
日常的なことです。
不動産を購入する人の中には
自分が購入しようとする不動産に抵当権が付いていることが不安であり
決済よりも前に抵当権が抹消されないことを
心配する人もいらっしゃいます。
しかしながら、
不動産の実務としては、
決済の当日に買主から売主に振込まれる代金をもって
売主の抵当権を抹消するとともに
同時に所有権を売主から買主に移転登記します。
これらを
司法書士が責任をもって手続きしますので
ご安心下さい。
ちなみに、
詐欺を働く人たちによっては
売主と結託して、売買契約を締結した後で
その不動産に新たに抵当権等を設定し
買主から振込まれる売買代金をダマし取ろうとする人たちもいます。
それを防止するために、司法書士さんは
決済の当日に登記の情報を取得し
新たな抵当権等の権利設定が無いことを確認します。