今日から3月ですね。
時節がら今年も花見を名目とした宴会は控えましょうね。
さて、不動産の中には
【借地】というカテゴリーがあります。
文字通り、
土地を貸したり借りたりするものですが
「気軽に他人と貸し借りはするな」という言い伝えが有るように
安易に土地を貸したがために
その後、地主さんが不憫な思いをしているケースが
よくあります。
例えば、昔の人は
家を建てる土地を探している人がいれば
とくに親しい知り合いでなくても
比較的安易に土地を貸していました。
「困っているときはお互い様」という考え方から
地主の方が気を使い、
比較的安い地代で貸していたものです。
このとき、土地を貸すまでは
「地主>借地人」というように
土地を貸す地主の方が立場は上でした。
しかし、実際に土地が貸され
一旦その土地に建物が建てられてしまうと
「地主<借地人」という風に
立場が逆転してしまいました。
借地人の立場が上になる理由は大きく二つあります。
一つ目は、
いったん建物が建てられると、
その建物が存続し続ける限りは
借地の契約が存続し続けることになるのです。
仮に、
当初の契約期間が20年間の借地契約で
期間満了時に地主が「契約は更新しない」と言っても
借地人の契約を更新する権利が法律で守られているため
借地人は土地を返さなくて良いのです。
二つ目は
建物が老朽化してしまった場合でも
借地人が建て替えを希望した場合は
地主の反対を押し切って建て替えを行い
居座り続けることも出来るのです。
具体的には
建物の建て替えには地主の承諾が必要なのですが
地主が承諾を拒んだ場合でも、
借地人が裁判所に泣きつけば
裁判所が地主の代わりに許可を出してくれるのです。
このように
借地は一旦建物を建ててしまえば
法律と裁判所に守られ
借りた土地を返還しなくても良いのです。
この借地人が一方的に有利な借地は
【旧借地法】とも言われていますが
1992年(平成4年)新たに【借地借家法】という法律ができました。
借地借家法も
基本的には旧借地法を継承していますが
それまでの借地人が一方的に優位で有った借地契約に対し
【定期借地契約】という考え方を規定しました。
定期借地契約は
それまで、正当事由が無い限りは
契約の終了が出来なかったものを
「契約期間が終了したら更新は行なわない」
という契約になります。
これにより
地主側は期間限定で安心して土地を貸すことができ
土地が戻ってこないという心配は無くなります。
なお、
定期借地契約の契約期間については
住宅などの定期借地契約の場合は契約期間が「50年以上」、
店舗などの事業用の定期借地の場合は「10年以上20年以下」
という縛りがあります。
このように地主よりも
土地を借りた方が立場が強い借地ですが、
沖縄には例外があります。
それは【軍用地】です。
米軍や自衛隊に土地を貸している沖縄の軍用地は
借地人(防衛省)よりも地主(軍用地主)の方が圧倒的に立場が強いです。
ですので、
バブルがはじけ、世の中の土地の価格が暴落しても
軍用地の借地料は毎年値上がりします。