あっという間に
新年の1ヶ月が終了ですね。どおりで歳を取る訳です
さて
本日のタイトルは
少し古くさい映画のタイトルのようですが(笑)
当社の開業当時の話です。
沖縄ネット不動産を開業して間もなく
県外に在住の沖縄出身者の人から
連絡がありました
ヤンバルの土地を売却したいと思うんだけど・・・
話を伺うと
「ヤンバルに親から相続した土地を持っているが
沖縄に戻り住む予定もないので
元気なうちに売却しようと思います。」
ということでした。
その人も沖縄を離れて数十年が経過し
その土地がどのような状況かは全く分からないとのことで
ひとまず所在・地番だけを聞きました。
その情報をもとに
まず登記簿を調べてみると
地目は「原野」だというのが分かりましたが
地番だけではどの辺りの土地なのかは
分かりませんでした。当時はグーグルマップも無いし
ただ、地番から推測すると
少なくとも住宅街などの
建物が建ちそうな土地ではなく
周りも原野だらけの中の土地だというのが
想像が付きました。
すなわち、その土地には接道が無く
建物の建てられない土地ということです。
一般的に、不動産は
建物が建てられるかどうかが
大きな評価ポイントとなります。
ですので、この時は
「せっかくの問合せだけど
ヤンバルの建物の建たない原野は
直ぐには売れるようなものではないだろうな~。」
と思っていました。
登記簿を確認したあとは、
該当する市町村役場に行き
地番をもとに航空写真で場所を確認し
それをもとに現地に行き
該当する土地の特定作業を行いました。
すると
本来は何も無いはずの土地が開墾され
周辺の土地と合わせ
大きなビニールハウスが設置されていました。
見た感じでは
設置してからかなりの年数が
経過しているようにも見えました
”ムムム・・・”
話がコジれる可能性も想像しました。
民法には
【時効取得】という規定が有り
他人の土地であろうと何であろうと
「この土地は自分のものだ」という意思を持って使い続けると
最短10年で、自分のものにすることが出来るという
「やったもん勝ち」を肯定する悪制度があります。(苦笑)
今回の土地も
所有者が沖縄を離れ、県外にいる間に
第三者がビニールハウスを設置し、
使用し続けていますので
もしこの第三者が「この土地はオレのもの」と主張した場合は
【時効取得】が成立し、
土地を窃取されてしまう可能性があります。
そこは第三者に会ってみないと分かりません。
地元の方々からの情報も聞きながら
ビニールハウスを設置した人を
ようやく探し出すことができ
会うことにしました。
”時効取得を主張されたら面倒臭いな・・・”
と思いながら
お会いしてみると
運が良いことに
良心的な人でした。
そして
他人の土地を勝手に使って、ずっと気になっていました・・・
と恐縮していらっしゃいました。
そして
土地の所有者が
売却の意思があることを伝えると
では土地を購入させてください
と購入の申し出がありました。
土地を何年使用していたかは不明ですが
この人は【時効取得】という悪制度自体も
知らなかったのかも知れません。
いずれにせよ、これらの状況を
土地の所有者に報告するとともに
変な横やりが入ったり
相手側の気持ちが変わらないうちに
速やかに売却手続きを完了させた方が良いことを
アドバイスしました。
その後、
売買する金額を調整した上で
売買契約を締結し
所有権の移転登記を完了しました。
親から相続し
長年放置したままとなっていた土地を
処分できた売主さんもひと安心されました。
また、
他人の土地を無断使用してきたという買主さんも
やっと気持ちがすっきりしたと喜んでいらっしゃいました。
当社の開業後の最初の売買で
売主・買主に喜んでもらえる仕事が出来て
嬉しかったのを今でも覚えています。
また
不動産の問合せには
得体の知れないものも沢山ありますが(笑)
頭の中で悶々としているときは
現場にヒントや答えがあることも多々ある
と言うことを一番最初に学ぶことが出来ました。
これらは
今でも当社の理念の中に残っています。手前ミソ