久しぶりのにわか雨で
雑草も元気になった沖縄です。
さて、先日
大阪に建設されたビル(マンション)型の納骨堂をめぐり
周辺住民が建築許可の取消を求めた裁判がありました。
ビル型の納骨堂とは
通常の土地付のお墓と違い
ビルの中に複数の遺骨が収納されており
参拝者が受付をすると遺骨が自動で運ばれ
その場で参拝が出来るという
物流倉庫のお墓版のようなものです。
このビル型の納骨堂は
市街地でも建設が可能なため
アクセスの良い場所に建てられることが多く
参拝者も遠くまでお墓参りに行く必要が無いというメリットもあり
近年増加傾向にあります。
今回大阪で建設された納骨堂は
新大阪から大阪駅方面に向かって1駅の
淀川区西中島という住宅地と商業地が混在する
便利な場所です。
この納骨堂の建設に対し、周辺住民は
「墓地埋葬法に基づく大阪市の審査基準では
・300メートル以内に学校や病院や住宅がないこと。
・学校、病院及び人家があっても付近の生活環境を著しく損なうおそれがないこと。
・「付近の生活環境を損なうおそれがない」と判断する基準はの中には
①周辺環境と調和が保てること。
②公衆衛生その他公共の福祉の見地より周辺住民の理解が得られること。
等を踏まえ個々の事例で判断するとなっているが
今回は周辺住民の理解も得られていない
として、大阪市の許可した建築許可の取消を求めました。
これに対し、裁判所の判決は、
「墓地埋設法に基づく大阪市の審査基準には
周辺住民の生活環境を保護する趣旨は含まれておらず
住民には訴える権利は無い」と住民の訴えを退けました。門前払い
ちなみに、この裁判は
納骨堂が建設される前の2016年に
同じく周辺住民が、大阪市の行なった建築確認に対し
審査請求が行なわれていますが、その際も
住民の審査請求が棄却されています。
その審査請求の中で住民は
「納骨堂は嫌悪施設」であると主張していますが
これも認められていません。
不動産の売買の際、不動産業者は
周辺に嫌悪施設がある場合は
買主にそれを説明しなければなりません。
一般的に、嫌悪施設とされるものとしては
下記の例があります。
高速道路、飛行場、鉄道、工場、下水処理場、
ごみ焼却場、養豚場、火葬場・葬儀場、ガソリンスタンド、高圧線鉄塔、
暴力団事務所、お墓、刑務所、風俗店etc
しかしながら、
これらはあくまでも参考例であり
嫌悪施設には明確な定義はありません。
例えば、飛行場が嫌悪施設だとすると
沖縄の米軍施設(普天間飛行場、嘉手納基地等)は
嫌悪施設となってしまいますが
嫌悪を感じる人もいれば嫌悪を感じない人もいます。那覇空港も嫌悪施設・・・
また、お墓についても
沖縄ではお墓はあちこちにあり
その場所も眺望等の良い場所が選ばれてきましたので
住民が好んで住居を建てようとする場所には
大体お墓があるものです。
これらを地元の人に聞くと
沖縄の人はお墓を気にするので、お墓のそばの物件は買わないよ~
と言う人も多いものです。
実際、お墓の近くの物件をお預かりした際に
内覧に来たお客様の多くは
と敬遠されました。
その一方で
沖縄の人はご先祖様を大切にするから
お墓が身近にあっても、気にしないさ~
と言う人も少なくありません。
結論として
不動産業者は安全サイドを考慮し
嫌悪を感じそうな施設については
何でもかんでも説明するものですが
それが嫌悪施設であるかどうかは
個々により判断が異なることになります。