久しぶりの台風に
少しドキドキする沖縄です。
さて、不動産のうち
土地単独や土地付きの建物を売却する際、
その土地の境界点を復元する測量を
実施するのが一般的です。
境界点を復元する測量を行なう目的は
2つあります。
1つ目は、
文字通り境界点を視覚化にするためです。
不動産を売買する際に
「境界(点)は大体この辺りです」では
購入する側も心配なものです。
これに対し
家屋調査士というきちんとした資格をもった者により
測量を実施し、その結果に基づく境界標を
現地に設置するのが境界の復元です。
2つめの目的は
復元した境界点が隣地所有者とも共通認識なものである
ということを明確化するためです。
売主が「境界(点)はここです」と示したものが
実はお隣りさんと認識が違うようであれば
その境界(点)は意味を持たないものになります。
ですので、
境界点を復元する測量では
その測量点で間違えないことを
隣地所有者の方々にも確認してもらい
その証として署名・捺印をもらいます。
それにより
それらの境界点は客観的にも
認められたものになります。
中には
過去に境界点を復元する測量を実施しており
その当時の測量資料と
現地に当時の境界標が残っている場合には
あらためて実施はしないケースもあります。
しかしながら、多くのケースで
当時の境界標が無くなっていたり
あるいは隣地所有者が署名・捺印をした
当時の資料を紛失してしまっているのが実情です。
土地によっては
法務局の【地積測量図】に
境界標についての記載があるのに
現地にはその境界標が残存していないというケースもあります。
これら場合は、残念ながら
再度、境界を復元する測量作業を
実施することになります。
この境界の復元作業は
測量を行なう土地の面積と接する隣地所有者の数によって変動しますが
30坪の土地で隣地の所有者が5名いる場合で
費用は約30万円程度です。
境界復元の費用は売主と買主のどちらが負担すべきなのですか?
境界の復元作業の費用については
どちらが負担すべきという決まりはありません。
また、そもそも法律上も
境界の復元作業を実施する義務はありません。
しかしながら
引渡における境界の明示という目的・主旨から
売主負担にて実施しているケースがほとんどです。
本来、不動産の売買は
神聖なものでもあります。
太古の昔からあり
日本の繁栄を支えてきた国土の一部を
第三者に引渡す行為です。
その神聖な場には
売主と買主のお互いの尊重・信頼が
前提としてあるべきものです。
境界を明確にして
安心して買主に引渡しを行なうことは
「信頼」のうちの重要な要素です。
しかしながら、ネットの情報等では
「境界の復元は買主の希望なんだから買主が負担すれば良い」とか
「売主が知らないのをいいことに、不動産屋が
境界復元の費用を売主に負担させている」
と酷評しているものもあります。(苦笑)
少しでも費用を抑えたいという
売主側の気持ちも分からなくもありません。
「境界復元の費用を負担するのがどうしても惜しい」
という売主さんがいる場合は、境界復元の費用を
土地代に上乗せして販売価格とする方法もあります。
そのようにしてでも
境界復元の費用は売主が負担したほうが
売主としての信頼を全うするためにも良いと考えます。
これらの背景もあり
不動産の標準的な売買契約書には
「売主は買主に対し境界を明示する」
という条文がうたわれています。