おはようございます。
天気予報によると
来週は強烈な台風が発生する可能性があるようです。もう11月なのに・・・
さて、
新型コロナウィルスの影響で
日本を代表する企業や
日本の文化を守ってきた老舗のお店等も
大きな打撃を受けています。
こういう時にこそ
金融機関は企業の支援を行なうべきだとは思いますが
出口の見えない状況では、融資を受ける企業の側が
先に心が折れてしまうかも知れません。
不動産業でも、新型コロナの影響で
当初は軒並み価格が下落すると予想されていましたが
予想通り下落した不動産と
価格が持ち直してきた不動産とに分かれました。
沖縄では
それまで過熱していた新築のマンションの販売に
急ブレーキがかかり、中には販売価格から
1,000万円の値引きを公表した新築マンションも出ています。
また、市街地から離れているなど
条件が劣る地域にある不動産は
問合せも激減しています。
その一方で
市街地の中古マンション等は
相変わらず高値で売買されています。
そんな中、例えば
今年の1月に土地の売買契約を締結し、
売主側にて既存の建物の取り壊し等を実施し、
半年後に引渡しを受けるというケースがあったとします。
売主と買主が売買契約を締結した時は
バブル時の高めの土地の相場を基準に
契約価格を決定しました。
しかしながら、その後
新型コロナウィルスの感染拡大により
その地域の土地の価格は2割程度下落してしまいました。
契約を締結した時と
引渡しを受けようとする時とで
土地の価格が2割も下落していますので
買主にとってはマイナスからのスタートとなります。
そこで、買主は
下落した価格分を
売主から何とか取り戻そうと考えました。
売主からの引渡し前でしたので
まずは、【売買代金の清算】という考え方が使えないか検討しました。
不動産の売買契約の中には
「契約に表示された土地の面積と、実測した面積とで差異がある場合は
土地の単価に応じて売買代金を清算する」という考え方があります。
今回は面積に変更はありませんが
「土地の単価」に変更が発生したものとして
売買代金の精算が出来ないかと考えました。
しかしながら、そもそも
その土地の売買契約には【売買代金の清算】条項はなく
土地の単価の変更による清算は出来ませんでした。
そこで次は
【引渡し前の滅失・毀損】という
危険負担の考え方が採用できないか考えました。
【引渡し前の滅失・毀損】とは
「売買契約締結後から引渡しの期間に、その不動産が破損した場合は
売主の負担で元の状態に戻しましょう。
売主の負担が大きい場合は、売買契約を解除することが出来ます。」
という条項です。
これはその土地の売買契約書の中にも
条文が存在します。
しかしながら
【引渡し前の滅失・毀損】は
売主の引渡し債務にかかわるもので有り
土地の価格が下落したとしても
売主の引渡し債務には何の支障も発生しません。
平成のバブルが崩壊したときも
同様の考え方で売買代金の減額を請求した事例がありますが
判例では請求は棄却されています。
すなわち
新型コロナウィルスの影響で
不動産の価格が下落しても
売買代金は減額できず
誰にも責任は問えないという残念な結果です。
そう考えると
新型コロナウィルスは
一段と迷惑な存在です。