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不動産の引渡し後の不具合の不安を軽減する方法

不動産の引渡し後の不具合の不安を軽減する方法

花粉さえなければ
県外に満開のサクラを見に行きたい季節です。

さて、
中古不動産の売買で
売主・買主ともに不安に思うのは
引渡しが完了した後での不具合の発生です。

売主の心理としては、
引渡しが終わった後に
何か不具合が発生して欲しくないものですし
もし、不具合が見つかった場合でも
それを自分たちに請求されたくないと思うものです。

そもそも中古の不動産に劣化があるのは当たり前なので
引渡し後に不具合を申出られても
その修理代等の費用負担はしたくないという心理です。

それに対し、買主の心理としては、
引渡しされた不動産に
何か不具合があったらイヤだなと思うものです。

中古と言えども
高額なお金を支払って不動産を購入したのだから
何か不具合があっても、その修理等の費用は
売主に負担して欲しいという心理です。

このように、
不安の内容は同じであっても
そのあとの費用負担については
売主と買主では正反対であるものです。

このように契約後のトラブルを防止するための手段の一つとして
不動産の売買契約には【契約不適合責任】という
条項が付いています。

【契約不適合責任】とは、
以前は「瑕疵担保責任」と呼ばれていたもので
不動産の引渡し後に発生した不具合の責任の所在を
規定する条文です。

例えば、
引渡し後、3ヶ月間は
売主に契約不適合責任がある契約においては
3ヶ月以内に発生した不具合は
売主の負担で修理等を行ないます。

ただし、不具合であれば
何でも対象になる訳ではなく
・雨漏り
・給排水管の故障
・シロアリの害
・建物の構造上の欠陥や腐食
等が対象となります。

ちなみに、
不動産の売買に関連した判例では、
築32年が経過した中古物件で
引渡し後に給湯器が故障したため
売主と買主が給湯器の交換費用の負担をめぐって
争った例があります。

このケースでは売主が不動産業者であったため
売主には2年間の契約不適合責任が付いていたため
売主側に給湯器の「交換費用の一部」の負担が
言い渡されました。

なお、「交換費用の一部」となっているのは
売主が負担すべきなのは
「新品の給湯器」へ交換する費用ではなく、
新品に交換した費用のうち
「中古品の給湯器」へ交換した場合の費用相当分という判断です。

判例の内容 ⇒ https://www.retio.or.jp/case_search/pdf/retio/101-106.pdf

この【契約不適合責任】については
個人間の売買(売主・買主ともに個人)においては
売主が不動産業者の場合と異なり
売主・買主の当事者間で任意に設定することが出来ます。

しかしながら、
「当事者間で任意に」であっても
現実的には、不動産の販売時の条件を決めるのは
売主側ですので、冒頭の売主の心理を考慮すると
「売主の契約不適合責任は免責(無し)」として
販売されるケースが多いものです。

このように
「売主の契約不適合責任は免責」となっている不動産において
購入後の買主の不安を軽減する手段として
中古住宅の場合はインスペクションの実施が考えられます。